あなたは、自分の意見が通らないから、
会社を辞めなければならない、と悩んでいませんか。

例えば、

先日、新しいプロジェクトを外部と進めるに当たって、相見積をとった。
内容も金額も大差なかったため、自分と相性の良さそうな業者にしようと、
上司に相談をした。

しかし、「そんな理由では経営陣に説明できない」と、却下され、
別の大手の業者を選定することになったばかりか、
そこの業者にはお断りをしなければならなくなった。

この類の話は、今回に限ったことではない。

こんなに自分の意見が通らないのであれば、
やっぱり、自分はここの社員として働くことには合わないから、
会社を辞めなければならないのだろうか。

ある程度話を進めていたのに、
最終的に自分の意見が通らない時、
これまでの努力は何だったんだ!とイライラする。

そして、こんなことが続くなら、
会社を辞めた方が良いのか、 悩むようになってしまった。

確かに、悩みますよね。

でも、安心してください。
あなたがそう思うには、そう思う理由があり、 その理由がわかれば、解決の方向性が見えてきます。

なぜ、私がそんなことが言えるのか、というと、 実は私も同じような経験をしたことがあるからです。
そして、私は、自分でそれを克服できたばかりか、
更に強いプレッシャーがかかっても、 もう、その悩みが再発しなくなったからです。
では、この心理状態を具体的に紐解いてみましょう。

自分の意見が通らないので、辞めなければならない、と思う理由

今、あなたが、 上司からバカにされたので、
会社を辞めなければならない、と思っているのは、
あなたにとっては大変なことで、それに対して頭がグルグルしていると思います。

これを、認知科学・心理学的に、整理してみましょう。

認知科学・心理学的な整理

まず、認知科学的には、 自分が今、気にしていること(アンテナが立っていること)に関して、
特にクローズアップされて感じてしまう ということがベースにあります。

そして、あなたの頭の中は次のような状態であると整理できます。

  1. 自分はある程度仕事を任されている、と思っている
  2. 一方、細かいことに上司を巻き込み、上司の時間を使っていけないので、上司へはある程度話を進めてから、報告するものだと思っている。
  3. とは言え、報告をした後、却下されることがある
  4. そうなると、関係者に対してお断りをしなければならず、心苦しい
  5. また、最近は自分の意見と会社の意思決定の内容が異なる場合が増えてきた
  6. だとすれば、自分のためにも、会社のためにも、自分が会社を辞めた方が良いのではないか、と思い始めた

自宅で悩んでいる

このことを整理すると、
自分の意見と会社の意見が合わないことが多くなってきており、
自分が苦労し、会社にも迷惑を掛けるぐらいなら、 会社を辞めた方がよい、
と思うようになっている、 と言えます。

本当は、却下されること に向き合わなければならない、のですが、
これを 自分も苦労し、会社にも迷惑を掛けていること に向き合わなければならない、に置き換え、

会社を辞めれば、これらに向き合わなくて済む として、
向き合わなくても良いことを正当化しているのです。

つまり、 却下されることに向き合いたくないために、
自分が苦労し、会社に迷惑を掛けていることを理由に「会社を辞める」ことで、
却下されることと向き合わなくて済むようにするだけでなく、
会社を辞めることを正当化している、 とも言えます。

また、 自分が苦労し、会社に迷惑を掛けるので、会社を辞めなければならない、
と、ある意味、偽善者のように振る舞っていますが、
本当は 痛い(苦手な)ところを突かれて恥ずかしいので、
何とか正当な言い訳をつけて会社を辞めようとしている とも言えます。

このように、これらは、 あくまでも後付けの理論(要は言い訳)なので、
客観的に見ればわかるように、かなり論理が飛躍しています。

ですが、自分では、何とか結びつけ(正当化し)ようとしているので、
頭の中がグルグルしてしまっているのです。

ビジネスマンが悩んでいる

悩みを解決する方向性は

では、この悩みを解決するには、どうすれば良いのでしょうか。

それは、「自分の意見が通らなかったこと」と向き合うことです。

そして、この向き合う方法には、
頭だけで何とかしようとするIQ的解決方法と、
本心を踏まえたEQ的解決方法の2つがあります。

IQ的解決方法

IQ的、すなわち頭だけで解決しようとするには、
「意見が通るようにする」
「意見が却下されないように努める」
つまり、上司へは事細かに相談・報告し、指示に従うようにする。
場合によっては、途中の段階で、
自分の考えが覆えされるかも知れませんが、我慢して進める。

すなわち、事細かに相談・連絡・報告し、
結論に対しても我慢できる自分になる、 ということになります。

そうだ! この正論で行けば何とかなる!と思って 行動に移せるなら、
行動に移しましょう。

しかし、本当の所、 今のままでは何もできないでしょう。
というのも、 普段から却下されることが嫌いなあなたは、
もう既に、その努力はしてきているはずです。

今まで以上に、事前に上司の意向を確認するとか、
根回しをするとか、方法はあるかも知れませんが、
今まで出来なかったことが、 今回、急にできるようにはなれないものです。

たぶん、悩みというのは、
「頭(IQ)では判っているけど、行動に移せない」 というのが殆どで、
頭で判って、直ぐに行動できるぐらいなら、 悩みなんて発生していませんよね。

一方、EQ的解決方法というものがあります。 それについて説明しましょう。

EQ的解決方法

EQ 的、すなわち、本音に沿って解決する方法は、
「意見が通らないことを認める」
ということから始めます。

えー、そんな、最初から諦めるの? という声が聞こえてきそうですが、
そうではなく、
まずは、 「通らなかった時のことも考える」から始めます。

例えば、意思決定によって却下された時に、
業者にお断り/謝らなければならないのですが、
その時、業者はあなたを恨むでしょうか。

相手に期待を持たせるようなことを言っていたとすれば、
がっかりされるのは当然ですが、
会社の意思決定ということであれば、
あなた個人が責められることはありません。

つまり、普段の生活の中で、相見積を取る機会があり、
その時にお断りをする場合は、あなたの責任になりますが、
会社の場合は、会社の責任であり、あなたの責任にはなりません。

言い換えれば、
会社の仕事として活動する際にお断りをすることがあっても、
個人的な罪悪感を持つ必要はないのです。

このように、個人的な罪悪感を持たなくて良い、ということをベースに
自分の意見と異なる意思決定が行われた時は、 どのように感じますか。

うーん。

自分の意見が通らないのは悔しいが、 かと言って、
自分の意見を無理に通そうとしないで、
場合によっては、会社の意思決定に従っても仕方がないか、
と譲歩できるかも知れません。

そうですよね。

つまり、「意思決定後のお断り」に罪悪感を感じ、
それを防ぐために、自分の意見に固執しているのだとすれば、
その罪悪感を軽く(感じない)ようにすれば、

仮に、あなたの意見が通らなくても、 必要以上に固執したり、
ましてや 「自分の意見が通らない」くらいなら、会社を辞めたほうがまし、
などと 思い込まなくて済むようになります。

たまたま、あなたの強い「責任感」が、
他の社員の人に比べ、過敏・過剰・過激に反応してしまい、
強い「罪悪感」を持っただけ。

本当は、「罪悪感がある/なし」とは関係なしに、
組織のためになる/ならない、を判断すれば良いでしょうし、
もっと言えば、組織人なのだから、 組織や上司に従う形で、
あなたの「意思」が実現しなくても、 周囲、或いは取引先の業者さんも
「サラリーマンだから、大変だね」と労ってくれ、
誰も、あなたを非難することはありません。

つまり、あなたの「責任感から来る罪悪感」に縛られて、
自分の考えに固執したい、と意地を張っているだけなのです。

なお、ここでは、 組織人なのだから、
(倫理的に)間違ってことをやっても良い、とか
何も考えないイエスマンになれ、と開き直れ、と言っているのではありません。

あなたは、責任感がある一方で、
実は、会社の中でも「個人としての意見」を通そうとしているので、
通らなかった時に、人格が否定されたように感じるなど、
ダメージが大きいのです 。

当事者意識を持って、真面目にやっているからこそ、
自分の意見に責任を持ちたいという気持ちがあることはわかりますが、

一方で、自分の意見が通らなかった時に、
抵抗したり反抗したりする気持ちになるのは、
組織の中の担当者とあなた個人とを混同している、とも言えます。

今までは、その混同していることを無視してきたものの、
あなたの中で、だんだんそれが無視できないぐらい、
大きく捉えるようになっているだけなのです。

ただ、その捉え方を小さくしたり、 割り切って捉えられるようにできれば、
会社を辞める、というような、大きな問題にはならない、ということです。

いきなり、 何を言っているかわからないかも知れませんが、
見方を変えれば、捉え方が変わる、ということです。

とは言え、捉え方を大きく変えることは、
なかなか難しいのは分かります。

でも、 自分の意見を通すように、 必要以上に報告・連絡・相談をし、
万が一通らなくても、諦めることができるような、 会社人間にならなければ、
と意気込めば意気込むほど、
行動できないで悩んでいることに比べれば、

自分の責任感から来る罪悪感を知り、
組織人として活動するときにはその罪悪感は発生しないことを受け入れる、
場合によっては、会社の意思決定なのだから、と割り切り、
意見が通らなくても、自分から会社を辞める必要はない、と思うことには、
何とか取り組めそうな気がしませんか。

そして、どちらの方法もあなたが選択することができます。

道選択

まとめ

自分の意見が通らないので、
会社を辞めなければならない! と、自分で自分を追い込んでいるあなた、

認知科学的には、今のあなたの頭の中が、
そういう風に考えることに極端に偏っているだけで、

これまで説明したように、ちゃんと解決する方法があります。

解決する方法としては、
1.正論(IQ的方法)と
2.本音(EQ的方法)の2つがあり、
どちらを選択することもできます。

とは言え、きっと、自分に厳しかったあなたは、
今まで、正論(IQ的方法)で対処してきたのだと思います。

でも、今のあなたは、
正論(IQ)を採ろうとしても、
実際には心理的なハードルが高すぎてできないので、
(だから悩んでいるので)
もうそろそろ、本音(EQ)でできることから始めてみませんか、
(もう少し楽に生きませんか)

ということで、
自分の意見が通らないので会社を辞めなければならない、
という問題に対して、
本音(EQ)で出来る解決策をご紹介をさせていただきました。

 

解決策が判ったなら、
解決できるように、 一刻も早く行動に移しませんか。
行動に移すあなたを応援します!